現在はネット申し込みのキャッシングが増えてきたので、
身体に障害のある方でも利用しやすくなりました。
でも、障害があることで審査に通りにくくなるのでは…?
と心配な方もいるかもしれません。
障害があってもお金を借りられる人と借りられない人の違いとは?
一昔前のキャッシングといえば、店頭で申込をして、銀行口座に振り込まれたお金を受け取って、それを口座振替で返済する…というのが主流でした。
身体にハンディのある人とってはなかなかの労力が必要になりますよね。
しかし、現在キャッシングはネット申し込みができますし、入出金もコンビニATMでできるため、物理的なハードルはかなり下がったといえます。
それでも、障害者のある方たちにとって、お金を借りることは難しいのでしょうか?
この記事では、障害者がキャッシングを利用できないケースや、お金を借りられる公的な制度などについて解説していきます。
障害年金を担保に借りられる?
障害者・健常者というくくりの前に、キャッシングを利用するにあたって重要なことは「継続的に安定した収入があるか」ということです。
キャッシングの審査では、「時々大金が入るけれど不安定な収入」の人よりも、「毎月きちんと一定の収入がある人」の方が有利だと言われています。
そこで気になるのが、障害年金をもらっている場合です。
障害のある方の中には、障害年金を受け取っている人もいると思いますが、ある意味では継続的な収入と言えます。
では、「障害年金を担保としてお金を借りることはできるの?」という疑問が沸き上がってきますよね。
しかし、結論からいうと、それだけでは難しい可能性が高いです。
等級 | 障害基礎年金の額(2023年度) |
---|---|
1級 | 993,750円(月額82,812円)+子の加算 |
2級 | 795,000円(月額66,250円)+子の加算 |
参照:【2023(令和05)年度】障害年金の年金額 – 障害年金相談センター
基礎年金額で言えば、2023年度は1級で月額82,812円、2級で月額66,250 円です。
確かに今後途絶えることのない収入ではありますが、ここから生活費を除くと、返済に充てるお金がほとんど残らない場合が多いと思います。
ですから、実質障害年金だけでキャッシングするのは難しいといえます。
そもそも、障害者の生活を支える大切な年金を担保として資金を貸し付けることは、法律で原則禁止されている行為です。
ただし、障害者年金にプラスして収入があれば話は別です。
たとえば、両耳全ろう(両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上)の場合は、障害等級2級ですが、デスクワークなど健常の人と変わらずできる仕事は色々あります。
また、視覚障害で1級を持っていても、あんま・鍼灸・マッサージなどの仕事で安定した収入がある場合は、借り入れできる可能性も出てくるでしょう。
知的障害者は借入を自己管理できるかが分かれ目
上でご説明した通り、身体障害者の場合は安定した収入があって、あとは物理的な問題さえクリアできれば、ほぼ問題なくお金を借りることができます。
一方、知的障害・精神障害がある方の場合は、借り入れを自分で管理できるかというところが一番の問題になってきます(もちろん、安定した収入があることは前提です)。
軽度の知的障害の場合は、家族の知らないところで借り入れをしたり、他人に騙されて借金を背負わされたりするケースを心配して、家族がキャッシングを反対するケースが多いようです。
しかし、家族や信頼できる知人が借り入れから返済までサポートしてくれるのなら、しっかり返済していくことは可能でしょう。
キャッシングできない障害者の基準
障害者と一括りにできないほど、一人ひとり障害の内容や重さは違います。
ほとんど普通に生活をしている障害者もいれば、介助なしでは家から出られない人もいるでしょう。
このように状態は人それぞれですので、障害があってもキャッシングを利用できる人もいれば、できない人もいる、ということです。
その違いを具体的に挙げていきます。
仕事をしていない障害者
これは障害者に限ったことではありませんが、原則、仕事をしていない人に融資をしてくれる金融機関はないと考えましょう。
「障害があって働けないのだから、好きで働いていないわけではない」と思うかもしれませんが、金融機関にしてみれば理由は関係ありません。
銀行も消費者金融も、貸したお金が返ってこないと商売にならないため、毎月安定した収入があることは必須条件なのです。
「障害年金じゃダメなの?」と思われるかもしれませんが、上述した通り、年金を担保に資金を貸し付けることは法律で禁止されていますし、そもそも年金だけを収入源としている=無職の人には融資しない金融機関が多いでしょう。
もし融資した場合、利用者は障害年金から返済することになりますが、それによって障害者の生活が苦しくなったら過剰融資だと責められるのは金融機関です。
金融機関はわざわざそんなリスクをとりたくないため、年金受給者へは原則として融資を行ないません。
もちろん仕事をしていても、収入があまりにも少なすぎる場合には審査に落ちる可能性があります。
それは誰であっても同じことです。
自分で契約内容を理解できない障害者
知的障害があり、契約内容を正確に理解できない場合もキャッシングは利用できません。
借り入れは契約ですから、契約書に書かれていることが理解できないと、契約そのものが成立しません。
この場合も、無理に契約して返済できなくなったときに、障害者の家族から「判断能力が十分ではないのに無理やり融資した」と責められるのは金融機関です。
そのような事態を避けるために、契約内容を理解できない障害者への融資は行なってくれません。
物理的に契約手続きができない場合
健常者と同じように仕事をしていて、安定した収入がある人でも、物理的な理由で契約手続きができないケースがあります。
たとえば、契約のために自動契約機を利用しなくてはいけないのに、車いすを使っているために自動契約機に入れない、というようなケースです。
目が見えなくて契約書を読めない場合も、点字の契約書がない限り融資は難しくなります。
聴覚障害がある方の場合は、電話応対が難しいために、契約内容の確認ができずに融資を断られることもあるでしょう。
銀行や大手の消費者金融であれば、手厚いサポートをしてくれる可能性もありますが、残念ながら障害者に対応していない会社もまだまだ多いのが現実です。
サポートの人が付くなどすれば借りられることもありますが、このような理由で借りられないことがあるということも頭に入れておきましょう。
障害者でも自分で契約できるならOK
障害者でも健常者とほとんど変わらない生活をしているのであれば、お金を借りるにあたっての問題はまったくありません。
そもそも障害者であることを申し込み時に伝える必要もありませんので、健常者と同じように申し込んで審査を受ければいいだけです。
障害の重い軽いはあっても、申し込みから契約までの手続きをすべて自分で進めることができるのなら、どんな障害者でもお金を借りることができるでしょう。
もちろん審査がありますので、その他の理由で審査落ちすることはありますが、障害者であることがマイナスになることはありませんので安心してください。
障害者でも借りられる!公的融資制度まとめ
ここまでご説明してきたように、障害があってもお金を借りられる可能性はありますが、その他の理由で審査落ちしてしまうことはあります。
そういう時に検討したいのが、2つの公的融資制度です。
どちらも、民間の金融機関から借りられない人のためのセーフティーネットとしての役割を担っている制度です。
それぞれの借り方について見ていきましょう。
生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯と障害者世帯、そして高齢者世帯の3つの世帯に対して融資を行なう国のセーフティーネットです。
障害者であれば障害者世帯として、福祉資金や教育支援資金を無利子もしくは低金利(年1.5%)で借りることができます。
また、収入が少なくて低所得世帯になる場合には、生活費などを借りることも可能です。
何の資金を借りるかによって、限度額や据え置き期間、償還期限などが異なります。
いずれを借りるにしても、まずは市区町村社会福祉協議会での相談が必要ですので、お住まいの地域の社会福祉協議会で相談してみましょう。
年金担保融資貸付制度
年金担保貸付制度・労災年金担保貸付制度は、平成22年12月の閣議決定において廃止することが決定され、平成23年12月及び平成26年12月の2回にわたる制度の見直しを行い、事業規模の縮減を図ってきましたが、令和2年の年金制度の法律改正により令和4年3月末で新規の申込受付を終了することが決定しました。
年金を担保に融資をすることは禁止されているとお伝えしましたが、実は独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資貸付だけは、唯一年金を担保にお金を貸すことが認められています。
- 10万円~200万円(生活費は80万円まで)
- 受給している年金の0.8倍もしくは1回あたりの返済額の15倍以内
このような条件がありますが、低金利でお金を借りることができますので、障害年金を受けているのあれば、おすすめの借入方法のひとつです。
ただし、残念ながら令和4年3月末で申し込み受付が終了しています。
家計に関する支援が必要な場合、自立相談支援機関へ相談すれば利用できる制度やサービスの案内をしてもらえます。
こちらの利用も検討してみてください。
まとめ:障害者への悪質な貸し付けに気付くには?
障害者がお金を借りる際に気をつけてもらいたいのが、どこから借りるのかということです。
基本的には銀行や消費者金融などの正規の金融機関、もしくは上でご紹介した2つの貸付制度以外からは借りることができません。
- 闇金業者
- 個人融資
このような借り方は絶対にしないように気をつけましょう。
闇金業者とは、法律で定められている上限金利を超えた金利で貸し付ける、違法な貸金業者のことです。
正規の中小消費者金融に紛れていますので、なかなか違いが分かりにくいかもしれませんが、「金利が年20%を超えている=闇金業者」と覚えておきましょう。
彼らはとても口が上手いので、気がついたら契約させられてしまいます。
そして、高額な利息を請求されるだけでなく、さまざまな手口を使ってお金を吸い上げようとしてきます。
一度関わったら、そこから抜け出すのは容易ではありませんので、絶対に利用しないように注意してください。
また、SNSやインターネットの掲示板などを使った個人融資もNGです。
こちらも、普通の個人のフリをして実際に融資しているのは闇金業者ですし、さらには詐欺師なども紛れています。
一見親切に見えても、違法な利息をとられたり、少しでも返済が遅れたらひどい取り立てをされるほか、個人情報を盗まれるリスクもありますので、絶対にコンタクトを取らないように気をつけましょう。